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Q.国債発行残高が多いですが、引き続き日本国債は大丈夫でしょうか。

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日本の個人金融資産が1,400兆円あるとはいえ、今の状況を放置し、政治的な対処をしなければ、デフォルト(債務不履行)のリスクが台頭してきます。債務圧縮計画を具体的にかつ早急に立てないと、国際的な信用に黄色信号がともるリスクがあります。
 

日本国債は、現時点において「日本で投資できる最もリスクの少ない投資対象」として位置付けられています。国が元利金の支払いを保証しているわけですから当然といえば当然です。しかしながら、今の日本の財政状況を細かく見ていくと、本当に安全なの?という疑問も少なからず出てくるので、日本国民として「事実認識」としてご理解いただきたいと思います。

日本の現在の累積赤字は2011年3月現在、924兆円と巨大なものとなりました。この数字は巨大です。どう巨大かといえば、毎年10兆円ずつ返しても、92年かかるからです。それに対して、2011年度の歳入(国の税収)は予算段階で48兆円です。それなのに同年度の歳出として、92兆円も使おうとしています。48兆円の歳入だったら、歳出を38兆円に抑えてやっと10兆円が浮くのです。そしてそれを92年以上続けてやっと借金を完済できるのです。ところが、本来歳出を38兆円に抑えるべきところを、92兆円も使ってしまうのです。これでは100年たっても200年たっても借金を返せるわけがありません。ちなみに2012年3月末の財務省予想の累積赤字は1,002兆円だそうです。

もう一つの大きな問題は、借金元本がここまで大きくなると、金利の支払いに四苦八苦するということです。現在の924兆円の借金とは、単純計算ですが、1%金利が上がるごとに、9.2兆円金利支払額が増えるという事です。もちろん固定金利債もありますから翌日から急には上がりませんが、固定期間が終われば一斉に新金利という事で1%上昇するわけですから、遅かれ早かれ9.2兆円相当の金利支払い増になるわけです。

それでもよく「景気が良くなれば税収が増えるから大丈夫だろう」とおっしゃる方がいますが、狂乱経済と言われたバブル最終年の1989年でさえ、税収は60兆にすぎませんでした。景気が良くなる事で税収が200兆円、300兆円と増えるのであれば問題なしですが、60兆円ちょっとではどうにもならない話なのです。

この状況を一般のサラリーマンの収支状況でお話しすると、よりリアリティがあるでしょうか。

あるサラリーマンAさんは年収480万円だが、過去に、兄弟の投資の失敗の穴埋め(銀行の不良債権問題)や、収入を上げるための自己啓発(公共投資)にことごとく失敗し、累積9,240万円もの借金を背負ってしまった。でもこれからも家族の医療費(社会保障)や、祖父と祖母へのおこずかい(年金)や生活費(公共投資)を削る事が出来ずに、今年も920万円ものお金を使う予定。景気も悪いので収入の増加はこれからも見込めそうにない。今年の足りないお金の440万円はまた借金(赤字国債発行)をする予定。この生活に慣れ過ぎてしまっていて、節約もできそうにないし、この生活レベルは当面変更の予定もない。でも今後祖父と祖母の要介護状態(医療費・年金支払額増大)も視野に入ってきた・・・。

もし、あなたが銀行の融資担当者だったら、このサラリーマンAさんにお金を貸しますか?
普通の判断なら「絶対に貸さない!」ではないでしょうか。もしこのサラリーマンAさんの親なら、「無駄遣いを辞めて、生活水準を見直しなさい!」ではありませんか?今の日本の状況は、まさにこのような状況なのです。

「じゃあ、国債を買わなきゃいいんでしょ?事実、俺は国債を保有してないよ。」という方も多いことでしょう。しかしながら、

「私たちは間接的に日本国債を大量に保有しているという事実をご存知ですか?」

私たちの銀行預金残高の1/3程度は、銀行が間接的に国債を購入しています。本来、銀行の業務は、個人から預かった預金を、企業に融資として貸し出すという預貸金業務が主業務でした。しかしながら昨今の不況により企業の借入意欲が低下し、銀行は思うように個人から預かった預金を企業に貸し出せずにいるのです。でも銀行は預かった預金をただ金庫に入れていても儲からないので、金利は低いですが安全性の高い日本国債を買っているのです。国債はこれだけ危ないと言われているのに、なぜ発行してもきちんと売れるのかといえば、銀行が個人の預金を使って国債を買っているからなのです。

この状況でもし政治的に何の対処もされず、年数を経たとしたら、以下のいくつかのリスクの可能性を示されます。

1)個人金融資産の上限が近付き、国債を発行しても未達(売り切れない)の日が来る
2)日本国債の国際的な信用失墜。先物・現物売り加速。債券価格下落による金利急上昇
3)日本国の信用失墜。外国人「日本売り」に伴う猛烈なトリプル安(円安・株安・債券安)
4)円安による輸入物価大幅高による超インフレ
5)超インフレと日本の債務の相対圧縮による財政正常化

こういう事が起きない方がもちろん良いのですが、もしこのまま今の状況を放置し、政治的対処を怠れば、こういう事態が現実となる可能性があるという認識はすべきだと思います。皮肉ですが、上記の状況になると国家財政は正常化するというのが不気味です。

それでは万一このような状況になった時に私たちが身を守る方法、今から備えて準備する方法がないかといえば、そんな事はありません。まずは、日本の「円」通貨の大幅安が想定されますので、今のうちに金融資産の一部を通過分散という意味合いで、外貨に振り分ける事をお勧めします。

また、もしこのような状況になると世界経済が一時的に大混乱となる可能性も高いですから、世界的に実物資産として人気の高い、「金」の保有もリスクヘッジとしては有効でしょう。ただでさえ自動的に日本国債を買っているという仕組みに組み込まれている私たちな訳ですから、少し積極的に対外資産投資を進めても、分散投資という意味でも決して過度なポートフォリオとは言えないと思います。

資産管理は、時と場合に応じて「攻めるべき時か」「守るべき時か」あるいは「遺すべき時か」に分かれると思いますが、将来的な国債の安全性リスクが台頭する気配を感じた際には、「守るべき時」と判断して対外資産投資を検討すべきではないでしょうか。

当社では、代表である占部の長年の外資系金融機関での経験と実績を活かして、外国資産への投資アドバイスや、金への投資、コモディティ投資、海外移住についてもご相談をお受けしております。ぜひお気軽にご相談ください。